樋口英明さん(元福井地裁裁判長)のウェブ講演会に参加して ~真実はシンプル~

樋口元裁判官の講演会(2022年12月10日、場所:京都大学、主催:高山佳奈子【京都大学大学院法学研究科教授】・樋口英明元裁判長後援会実行委員会)に参加しました。その感想を報告させていただきます。

タイトルは「司法の責任とは何か 関西電力の大飯原発3・4号機運転差止判決、および高浜原発3・4号機差止処分決定を出した樋口英明・元福井地裁裁判長に聞く」でした。

講演内容は、「私が原発を止めた理由 ―本当は誰にでも分かる原発差止裁判」というもので、難しい裁判内容についてシンプルにお話されていました。樋口元裁判官は「原発の本質をつかむ」ことが大切だと語られました。
原発の何が問題か、それは

  • 電気、水で管理し続けなければいけないこと
  • 暴走したら止められないこと

この2点だと。

危険は他の発電施設の比ではなく、被害が甚大でその確率が高いと。例えば原発施設はそもそも700ガルを想定して建てられており、それは震度5位の想定らしいのです。ですので、東日本大震災の時のような2000ガルを想定していない。

法律用語や判例で判断するのではなく、危険かどうかで判断することが大切と語られた樋口元裁判官は、他の裁判官や弁護士、法律家がこの点に注目しないのは、物事をシンプルに見ていないからだと語られました。法律用語や判例等を見れば見る程本質から遠のくと。

また、国は平然と、公然と、継続的に嘘をつく。それに対して、訴訟で勝つこと、おかしいことをおかしいと言い続けることの大切さが語られました。

最後にキング牧師の言葉を印象深く引用されていました。

究極の悲劇は悪人の圧制や残酷さではなくそれに対する善人の沈黙である。
結局、我々は敵の言葉ではなく、友人の沈黙を覚えているのだ。
問題に対して沈黙を決め込むようになったとき、我々の命は終わりに向かい始める。

(文責:原発問題プロジェクト委員 司祭 小林聡)