聖公会生野センターと原発問題プロジェクトをつなげたい – 課題・痛みの共有と「見えない壁」

日本聖公会が2012年に表明した「原発のない世界を求めて -原子力発電に対する日本聖公会の立場-」の決議文書の中に、原発労働者、またウラン採掘等に従事させられ被爆を余儀なくされている方々のことが書かれています。

神によって造られたいのちを脅かす

(中略)さらに、海外のウラン鉱の採掘・精錬においても、先住民をはじめ労働に携わる人々を被曝させ、国内では原子力発電所の維持・管理にあたる原発労働者のいのちを危険に晒しています。

『原発のない世界を求めて-原子力発電に対する日本聖公会の立場-』2012年5月23日 日本聖公会第59(定期)総会決議より抜粋

原発は、様々な人々が関わり、多くの人々が影響を受け、重層的な差別の構造を作り出しています。しかし広範囲に影響を及ぼしているにもかかわらず、関心を持ち声を発している人々の存在は分断させられ、力を終結させないようにされています。

今回このウェブサイトにこの分断のことを投稿しようと考えたのは、ある壁にぶち当たったからでした。

日本聖公会の様々な働きが互いに関心を持ち、つながり、協働出来たらという思いから、今私が関わっている聖公会生野センター30周年記念事業の中で、原発問題プロジェクトのブースを10月10日の記念感謝礼拝の会場に設置し、特に在日韓国・朝鮮人の方々と原発についての問題を学び、その関連についてブース展示したり、このウェブサイトに記事を掲載しようと思っていたのですが、なかなか思うように原発の課題と在日韓国・朝鮮人の方々の苦難とがつながらなく、課題の共有や痛みの共有、意識化がことの他難しく感じたのでした。

そしてこれは大切な課題が互いに共有できないようにさせているある「壁」のようなものがあることを感じました。

本来原発を巡る問題は、あらゆるところに浸透しているはずなんですが、いざそれぞれの現場や課題から原発問題を掘り下げ、つながりを言葉化しようとする時に見えない壁にぶち当たるのです。

今回は、この「見えない壁」を見出し、明らかにしていく作業が、私たちの大きな課題なのではないかと思い、書かせて頂きました。

10月10日の聖公会生野センター30周年記念感謝礼拝会場での原発問題プロジェクトのブースは設営いたします。

在日韓国・朝鮮人の方々に押し付けている痛みや差別をなくす運動、地域に根差した多民族・多文化共生社会の実現という聖公会生野センターが担ってきた働きと、原発問題がどのように響き合うのか、それはこれから意識してつながっていきたいと思います。

興味関心のある方には是非ブースにお立ち寄りいただきたいと思います。
ちなみに当日は日本全国、また韓国から500人くらいの方々が会場である大阪にあるプール学院中高に集まられる予定です。

NPO 聖公会生野センター(大阪市)

キリスト教精神に基づき、生野地域を中心に、在日韓国・朝鮮人と日本人に代表されるような様々な民族・文化的立場が違う者同士の協働により、すべての人が自己を尊重される社会の実現に寄与するための働きを担うNPO法人。2022年に設立から30周年を迎えた。

【働きの内容】
  • 大阪市生野区を中心として在日韓国朝鮮人と日本人の共生のための取り組み
  • 地域に住む障がい者の生活支援
  • 地域にする在日韓国・朝鮮人高齢者の生活支援
  • 韓国の市民団体と交流

https://www.nskk.org/ikuno/ (聖公会生野センターウェブサイト)
https://www.nskk.org/osaka/Osaka/ikuno_center/(日本聖公会大阪教区ウェブサイト内紹介ページ)

(文責:原発問題プロジェクト委員 司祭 小林聡)