「核から解放された世界へ」2014年WCC中央委員会採択声明の紹介

2023年6月4日(日)〜10日(土)に行われた、日本聖公会「原発のない世界を求める週間」の「祈りのリレー」の中で、世界教会協議会(WCC)による声明「核から解放された世界へ」に書かれた、核時代からの脱出(出エジプト)の話題があげられたました。

神は命と死を私たちの前に置かれます。祝福と呪いを、私たちの前に置かれます。私たちと私たちの子孫が生きられるように、神は呼びかけて言われるのです――「さあ今、命を選べ」と(申命記30章)。世界教会協議会釜山総会は、この神の「今」が切迫していることを思い出させられました。「今」は終末論的な時、「メタノイア(回心)」の時、恵みが溢れる時です。教会として、私たちは自分たちを教育し、命を選ぶように変わらなければなりません。核弾頭の眩い閃光や、原子炉の死の光を捨てて、自然世界の健全なエネルギー源――太陽、風、水、そして地熱――を選択しなければなりません。私たちは、それらのエネルギー源の中に生きているのですから。これこそ、核をはじめとする危険から脱出する道・出エジプトの道なのです。

『声明:核から解放された世界へ』WCC中央委員会(2014)

WCCは世界のキリスト教会の超教派的運動の推進機関です。日本聖公会も加盟しており、西原廉太主教が中央委員を勤めています。「核から解放された世界へ」は、2014年7月に開かれたWCC中央委員会で採択された声明で、D.マッキントッシュと川上直哉牧師により翻訳された日本語版の全文をご紹介します。

2011年3月に発生した福島第一原子力発電所の爆発事故は、1986年のチェルノブイリ原発事故の記憶が残る世界に、改めて、凄まじい破壊力を思い知らされるものとなりました。核分裂によるエネルギーは単に巨大な破壊力だけでなく、放射能による被曝は、地球上の全ての生物の“いのち”を危険にさらすものである事を再認識するものとなりました。しかし人間は、その影響が顕在化するのが必ずしも早いとは言えないことから、経済力や軍事力への転用を優先してきました。そのため「許容可能」な基準値の引き上げによる悪影響は、回復出来ないレベルに達しようとしています。

WCCは、地球上の全ての“いのち”とその尊厳を守るために「核(原子力)についての教会的判断」を示しつつ、「核から解放された世界」へ向かうことの重要性や、「正義と平和の巡礼としての核からの脱出」を呼びかけています。

  • 『声明:核から解放された世界へ』 の内容
    • 健康と人道と環境についての懸念
    • 核(原子力)についての教会的判断
    • 被造世界に奉仕することと、リスクを管理すること
    • 原子力と核兵器(原水爆)の連結可能性と安全保障
    • 正義と平和の巡礼としての、核からの脱出
    • 上記を踏まえて、所属教会および関係する教役者および諸ネットワークへの8つの呼びかけ
    • 所属教会および関係する組織、そしてネットワークに対し、世界教会協議会と共に、各国内外で声を上げ、一致して行動することを求めた4つの呼びかけ