東京教区第145(定期)教区会 開会演説

 

東京教区 第145(定期)教区会 開会演説
2024年11月16日(土)
主教 フランシスコ・ザビエル 髙橋 宏幸




― はじめに ―
 秋の教区会は北関東教区と交互に開催されます為、「東京教区第145(定期)教区会」は本日11月16日土曜日の開催となりました。ご参集いただいた議員および関係者の皆さま、教区会書記局、教区事務所、また会場準備をしてくださった方がたにこの場を借りて感謝と御礼を申し上げます。
 私たちは、キリストに倣い、従い、仕える使命に与っているキリストの弟子として召されていることを心に留め、神の民としての働きを整えるべく、本教区会を「神の民の会議」に相応しいものとしたいと思います。皆さまのご協力を切にお願いいたします。



― これまでとこれから―  
 私たち東京教区は、教区成立101年目の時を歩み出しました。これまでも述べてきましたが、キリストの弟子としての使命に基づいて、また礼拝と宣教と奉仕の働きを通して、神の国のよき知らせを宣言し、新しい信徒を教え、洗礼を授け、養うことが各教会・礼拝堂、また信徒・教役者一人ひとりに求められています。そして愛の奉仕によって人々の必要に応答する働きとして、教区内教会、礼拝堂、施設で、「こども食堂」「フードパントリー」「給食活動」「野宿者支援」等、なされ続けている尊い働きに祝福を祈り続けます。また、諸施設での働きに従事、献身されていることへの感謝とともに、「幼稚園」「保育園」「学校」「社会福祉施設」とのつながりも欠かせません。
 この4月には「放課後等デイサービス」が教会外の方がたの協力も得て、東京諸聖徒教会の中で始められました。また、聖オルバン教会「DSG( The Deeper Service Group)」の協力をいただき、目白聖公会では二度にわたる難民の方がたの一時受入れを引き受けてくださいました。これらもまた、いのちに仕え、隣人となるべく「行って、あなたも同じようにしなさい」というイエス様が命じられたことへの応答、実践であり、その働きに感謝し祝福を祈り続けます。
 ~ いのちに仕え、となりびととなるために ~「神のみ声に耳を傾けよう」「人びとの声に耳を傾けよう」「世界の声に耳を傾けよう」(「2023年日本聖公会宣教協議会」)、また全聖公会の「宣教の5指標」にありますように、社会の不正な構造を改革し、あらゆる暴力に反対し、平和と和解を追求すること、被造物の本来の姿を守り、地球上の生命を維持・再生するため努力することを、今この時代、この場にある教会、礼拝堂等で共有し続け、私たちに託されている使命、課題として大切に取り組み続けます。
 また、子ども、青少年、弱い立場のおとなの安全を守り、高めるための「セーフチャーチ・ガイドライン」を基に日曜学校など子どもに関わる方がたによる研修会も実施されました。併せてキリストの体の肢である教会は、様々な国籍、文化的背景を持つ方がた、多様なジェンダーの方がたで構成されていることを覚え、より開かれ、各年代の人たちがそれぞれの賜物を生かし合えるキリストの教会を目指し、その存在が脅かされることなく、安全にその人らしく居られる場になるよう祈り、上の学び等を継続してまいります。さらに2024年4月に施行されました「改正障害者差別解消法」にある「合理的配慮」に関連して、早急に学びの会を開催することを計画していますので、宣教主事にお願いし追って具体的なお知らせをしていただく予定です。
 教区の各委員会のお働きに感謝いたしますと共に、委員会の職務内容等の識別についての検討から、新体制、新教区を見据えた新たな展開を始めています。同時に、教会グループ協議会の働きとして、宣教協働や共通の課題や働きを巡っての話合い、必要なプログラム立案等をお願い致します。
現在、「東京教区成立100周年記念誌」発行作業に従事していただいていますが、これまでを振り返るだけでなく、今、そしてこれからを描くことを重視し、その作業が行われています。また、その中、コロナ禍での各教会・礼拝堂での当時の対応(連絡や集会やその他配信などについての工夫や作業)にも注視し、危機的状況の中での教会の在り方、宣教等にも触れてくださっていることは、重要な宣教的視点にも通じます。
 「共育プロジェクト」主催黙想会、プロジェクトメンバーの定期的リトリート等のプログラムが行われていますが、霊性の大切さと求めが明らかに見え始めています。沈黙の中で神様との対話を大事にしつつ、更なる霊的成長を東京教区の大事な課題としてプログラムを続けてまいります。また、現在、その他のプログラムも計画し、実施に向かっていますとともに、「ナザレの家」の今後について、主体的に考えていきます。
 霊性は私たちの働きと活動の源であり、神様の声を聴くこと、他者に、出来事に自らの心に聴くことに始まります。加えて、エキュメニカルな視点、協働も企画、検討課題とし始めています。これらすべての共育の礎となるものは主のみ言葉とみ業であり、聖書の学びに他なりません。
 聖職志願者については、神様のお召の声をより良く聴き分けるための識別、霊的同伴プログラムが聖職養成委員会で始まっていますが、複数の聖職志願者が出てきたことは大きな感謝です。また、教役者の働き方、健康面への配慮について、担当医を定め、同時に教役者待遇調査委員会への諮問、答申を基に休職規定を改定いたしました。



― 子どもや青少年に関して ―  
 S Sネットワークでは、コロナの影響で休止していた「夏のキャンプ」が再開し、更に今後、北関東教区の日曜学校との繋がりを目指しての新ステージに向かう予定です。また、「中高生世代夏のキャンプ」「青年たちによる小笠原の旅」が行われています。小笠原聖ジョージ教会の信徒の方々との交わり、祈りから、信仰と生活委員会の中に小笠原プロジェクトを来年より発足させ、小笠原聖ジョージ教会の方がたと共に、小笠原にある唯一の教会としての宣教の働きを共に考えていきたいと願います。殊に、青少年の主体的な働きを支えるために安心して活動できる場所が、浅草聖ヨハネ教会のご理解、ご協力をいただき確保され大きな感謝です。これらを見守り、信仰者としての社会性を示し、同伴する大人の存在も欠かせません。来年、マレーシア聖公会サバ教区でCCEA(COUNCIL OF CHURCH OF EAST ASIA)青年大会の開催が予定されています。東京教区からの参加者も募りたいと思います。



― 平和といのち―
 依然として地球上で不要な争いにより、流されてはならない血が流されています。世界各地の戦争、紛争を耳目にする中、「平和を作り出す」ことへの応答を真摯に祈り、殊に呼びかけに応えるべく祈り続けてまいります。武力や抑圧によっていのちが否定され傷つけられている地域や国々の人々が速やかに解放され、癒され、回復されますように、深く祈り続けますとともに、キリストの教会はいのちを傷つけ、尊厳を踏み躙ることに対して反対の立場を取り続けます。
 また、日本原水爆被害者団体協議会のノーベル平和賞受賞のニュースがありました。「核といのちは共存できない」一方で、世界では核兵器使用の脅威が増している中にあって、私たちは「いのちを守るのか、壊すのか?」ということを真剣に問い、学び続けます。
 11月9日(土)、「環境保全・命を祝う礼拝」を捧げ、「モンゴル 聖公会の森づくり」への祈りと献金を献げました。これは、先のCCEA、また日韓合同主教会でも重要な話題となりました。既に大韓聖公会では働きがなされていますが、両聖公会が向き合うだけではなく、協働すなわち共に同じ方を向きつつなしていく宣教の働き、いのちへの奉仕を実践していく上での一つの実りであり感謝です。



― 「変革」に向かって ―  
 新教区設立に向けての宣教協働が進む一方で、「第143(定期)教区会」で「教区費分担金制度等検討特別委員会」を発足し、調査、検証、協議を重ねていただき深く感謝いたします。この度、報告と提言をいただきましたポイントは、
1 現行の教区費分担金制度は、「財政規模の小さい教会の牧師給未支給/遅支給の是正」「教役者の経済不安からの解放」「牧師給支給が困難な教会に対しても人事が可能」という目的のため工夫された出発点がある。しかし今や、「教役者の給与支給は教区の責任であって、教会が全ての必要経費を捻出しなければならない訳ではない」というような意識の定着が、教会の宣教姿勢についても問題を生んでいると思える。本来は「教会こそが宣教の担い手」であるが、その意識が希薄になり、教会の使命について突き詰めなくともという危機感のなさを生んでいる可能性がある。
2 現行の「教区費分担金制度」を続け、これまでのように不足分を「伝道牧会資金」取り崩しで補填し続けると2028年には「伝道牧会資金」が底をつく可能性が大きい。
  それは、二教会一牧師、三教会一牧師体制に組み直しても解決することではなく、あるいは管理牧師の教会との関わりを二分の一、三分の一にすることも、各個教会の宣教の方向性を明確にしない限り困難である。
3 新たな分担金制度を模索するに当たり、「教会はすでにサバイバル段階にある」という認識を共有することが必要不可欠であり、東京教区は以下に掲げるタスクを見据えた新たな体制(教区費分担金制度はその一部)を創出する必要性を感じる。
1) 経済的に自給している教会のさらなる成長のサポートの方法
2) 自給自立を目指す教会のサポートの方法
3) 自給自立に至れない教会の進路決定のサポートの方法
4) 教役者の継続教育と人件費を支える財政基盤の根本的な整備
 そのためには、まず各教会が「現在点」を指し示すデータに向き合い、財政健全化と持続可能な宣教体制実現への具体的計画となる「教会変革へのロードマップ」を策定・実行し新たな分担金制度への移行に備えることを提案する。
「教会変革ロードマップ」を考える際のヒント
・宣教の在り方を決めるのは各教会であり、宣教の担い手は信徒である
・「活動」「プロジェクト」を中心に据えた宣教目標を各教会が明確化する
・人を生み、人を育てることが、すべての宣教の始まりであると認識する
・牧師は神学的洞察に裏打ちされたヴィジョンを示し、そのヴィジョンに従って宣教共同体と して教会を養い、成長させる責任を負う
 これは、はじめに述べさせていただきましたように、教区の宣教の働きの拠点は先ず各教会・礼拝堂にあるということを再確認しようという提案であるとも言えます。教区の働きはその拠点の働きに協力し、また教会・礼拝堂間の協力を助ける働きです。
 そして教会・礼拝堂とその会衆に信仰的な決断を求める内容となっています。改めてキリストの弟子としての使命に基づいて、祈りと学びをともにしながら、それぞれのあり方を検証しつつ、新たな宣教目標の共有とそれに基づいた決断を求めてゆきます。



― 北関東教区との宣教協働・新教区設立 ―  
 第一段階は「一つになったら」をキーワードに、第二段階は「具体的に一つになるために」、そしてこの春からは実務面でのスピードアップをお願いし、加えて北関東教区との合同教役者会、東京教区内での教役会の実施を重ねてきています。後ほど、鈴木伸明司祭様から詳しくお話しいただくことになっています。
 「出会うこと 知り合うこと 祈り合うこと ともに働くこと」を柱に、降臨節・大斎節のみ言葉と歩む黙想集作成、両教区教会を交互に訪問し教会の建つ地域や成り立ちを学び、知り合う巡礼企画、青少年に係わる協働、礼拝音楽委員会の協働、北関東教区「信徒一致の日合同礼拝」への参加、青少年による大根の種まきと収穫 を両教区内の食糧支援現場に届ける等、様々な活動が継続されています。
来年秋の教区会にて「新教区設立について」の議案が出される予定です。またその準備を進めるための議案が今教区会に提案されています。



― 最後に ―
 去る4月8日には植田仁太郎主教様が、10月8日には岩前宏司祭様が逝去されました。長きに亘り東京教区内教会、機関、施設、管区、エキュメニカルな分野でも献身されました尊い働きへの感謝とともに、魂の安息をお祈りいたします。
 6月29日には福永澄聖職候補生が執事に按手され、北関東教区の大山洋平司祭との合同聖職按手式が捧げられましたことを感謝しますとともに、公会の執事としての更なる働きを祈ります。また明日、藤田誠執事の教区の司祭試験(説教)が、後日、岡フランセスさんの執事試験(説教)が行われますので、ぜひともお祈りください。
 ご清聴ありがとうございました。



【聖公会の宣教の5指標】
  神の国のよき知らせを宣言すること
  新しい信徒を教え、洗礼を授け、養うこと
  愛の奉仕によって人々の必要に応答すること
  社会の不正な構造を改革し、あらゆる暴力に反対し、平和と和解を追求すること
  被造物の本来の姿を守り、地球上の生命を維持・再生するため努力すること

 

東京教区第144(定期)教区会 開会演説

 

東京教区 第144(定期)教区会 開会演説
2024年3月20日(水・休)
主教 フランシスコ・ザビエル 髙橋 宏幸

― はじめに ―
本日「東京教区第144(定期)教区会」に、休日の中ご参集いただきました議員の皆さま、書記局、事務所、会場準備をしてくださった方がたにこの場を借りて深く感謝を申し上げます。また、キリストの弟子としてキリストに倣い、従い、福音を宣べ伝える使命を委ねられている者として私たちは集められています。

― 大切にしていくこと ―  
私たち東京教区は、教区成立101年目の時を歩み出しました。「私に従いなさい」というイエス様の言葉の背景には、「あなたがたは、もちろん従ってくれるはずだ」というイエス様からの信頼が感じられます。私たちは洗礼を授かりクリスチャン、キリスト者とされましたが、それ以上に、イエス様からの信頼の上に弟子とされていることを心に深く刻み、感謝し、大切にしていきたいと思います。弟子は決して一人きりでは成り立ち得ません。私たちが生かされている時代、場所の中で、イエス様がなさることに弟子として仕えることこそが、キリストを頭にいただく私たち、即ちキリストの教会が大切にし続けていかねばならない使命です。
その使命に基づく働きとして、教区内教会、礼拝堂、施設での礼拝、宣教、奉仕の営み、殊に貧困に向き合う働きである「こども食堂」「フードパントリー」「給食活動」「野宿者支援」、子どもの安全な居場所を提供する働きである「学童保育」「放課後等デイサービス」(2024年4月開設)「幼稚園」「保育園」「学校」の営み、またいのちの尊厳を傷つけられている「移民・難民の方がたへの支援」等が行われています。これらの働き一つ一つは、いのちに仕え、隣人となるべくイエス様が命じられた「行って、あなたも同じようにしなさい」というみ言葉に応えようとする実践であり、その働きに祝福を祈ります。他にも、様々な形でイエス様のみ言葉に応えようと努めておられる働きは少なくはありません。
先週3月16日(土)、地域の方がた、ライト学童保育の支えをいただいた協働事業でもある聖救主福祉会「深川えんみち」竣工式が行われました。教会の周辺、地域の方がたと力を合わせて地域に仕える働きを覚えて祈ります。また、社会福祉施設の働きに関わっておられる方がたへの感謝を表しますと共に、法人格の相違を超えてその理念にみられる共通理解、繋がりを今後も大切にしてまいります。いのちに関わり、仕える働きはイエス様の意に沿うものです。更に祝福を祈り続けます。

― 「宣教協議会」からの呼びかけ ―
昨年11月に開催されました「2023年日本聖公会宣教協議会」からの呼びかけが出されました。その中には「神のみ声に耳を傾けよう」「人びとの声に耳を傾けよう」「世界の声に耳を傾けよう」とあり、その目的は「いのちに仕え、となりびととなるために」とあります。これは、決して一方通行の呼びかけではなく、如何にしたら私たちキリストの教会がより良く、より正しく耳を傾けられるか、それぞれの教会・礼拝堂、施設、委員会、団体、種々の集会、一人一人の日々の信仰生活の中で具現化していくことができるかが期待されてもいます。決議や提言ではなく呼びかけである以上、「自分(たち)はどう聴くか?」「自分(たち)に与えられている賜物を、誰のために、どう用い、献げることができるか?」を熟考、黙想し、更に具体的に応えていくことが求められています。それはイエス様からの信頼への応答へ繋がるはずです。
また、2022年開催のランベス会議(全聖公会主教会議)より発表されました「ランベスコール」の日本語版も出されました。ここでも「コール」、即ち「呼びかけ」という言葉が使われています。全部で10の呼びかけがありますが、既に教会、礼拝堂、施設等に送付されていますので、ぜひ目を通し、学んでいただきたいと思います。
既にご存知のように、先に出されました全聖公会の「宣教の5指標」の中、取り分け世界レベルで課題とされています「被造物の本来の姿を守り、地球の生命を維持・再生するために努力すること」「地球規模で起こる気候危機、環境破壊、急速に失われつつある生物多様性を見過ごすことによって、特に弱い立場にある人々の生活を奪い、私たちの子どもや孫の未来を脅かしている。いのちを守る教会としての成長すること」を引き続き、キリストの教会に託されている大切な使命、課題として受け止めてまいります。
また、前教区会にて配布いたしました、殊に子ども、青年、弱い立場のおとなの安全を高めるための「セーフチャーチ・ガイドライン」(日本聖公会版)が発行され、管区主導で様々な教会活動に関わる方がたを対象に「ハラスメント研修」がなされていますが、管区、教区での継続的な学びは必須です。更に、この2月には主教会教書「あらゆるセクシュアリティの方々の尊厳、いのちが守られるために」が、日本聖公会主教会より出されました。
東京教区内には様々な国籍(民族)の方がたがおられること、多様なジェンダーで構成されていること、多様な文化的背景を持つ方がたと共に生活していることを深く心に留め、また、ハンディをもつ方がた、日本語以外の言語を話す方がた等、多様な人々によって構成されるべき、私たちキリストの教会の環境設定を考える必要性が増していることも心に留め、それに即した動きへと繋げてまいります。

― 平和と和解に向けて ―
未だ地球上で不要な争いにより、流されてはならない血が流されています。世界各地の戦争、紛争で奪われ、傷付けられている多数のいのち(2月末時点でガザでは犠牲者3万人、57万人以上が餓死寸前との国連報告)を耳目にします時、耳目を逸らすのではなく、イエス様の言われた「平和を作り出す」ことへの応答を真摯に祈り、殊に呼びかけに応えるべくエルサレム教区を覚えての祈りを続けてまいります。武力や抑圧によっていのちが否定され傷つけられている地域や国々の人々が速やかに解放され、癒され、回復されますように、自らのあり方も省みつつ日々深く祈り続けます。キリストの教会はいのちを傷つけ、尊厳を踏み躙ることに対して反対の立場を取ります。

― 「変革」に向かって ―  
新教区設立に向けての宣教協働が進む一方で、東京区の中では「教区費分担金制度等検討特別委員会」発足等、積まれた課題への取り組みが始動しています。
「共育プロジェクト」も立ち上げられました。「教育」ではなく「共育」としましたのは、神様によって共に育まれ、育み合うことを基にするためです。宣教協議会からの呼びかけにも「聴くこと」とありますが、先ずは神様の声を聴くことに始まり、他者に、出来事に、自らの心に聴き、その中で神様の声をより良く聴き分けるための識別、霊的同伴を目指したプログラムを始めます。キリスト教の霊性とは、祈りや黙想という静的なものと、それに基づいた動的(Movement)なものとを個々別々のものとはしません。長らくこの霊的共育が中々実践へ結び付かずに来ましたが、遂にその動きを始めてまいります。私たち一人一人聴き、受け止め、学び、行動してまいります。
また、各委員会の識別、見直しに繋げるものとして委員長懇談会を継続します。常設委員会の目的である「教区の宣教奉仕活動の継続的な前進をはかるため」(東京教区規則第23条)、委員会同士の横の繋がり、よい取り組みや課題の共有は今後の変革へ意義あるものとなるはずです。広報委員会や礼拝音楽委員会では新しい委員長のもと、今年度の活動が進められており、他にもその役割の識別と見直しの検討が必要なものがあると思われますので、今後教区会に於いて検討をお願いすることになります。
更に、教会グループ協議会の役割、宣教、牧会に関する共通の課題や働きの検討)、或いは見直しも外せません。現在、各教会グループから信仰と生活委員を選出していただいています。各教会、教会グループ、教区を繋げる大切な役割を引き続きお願いいたします。

― 子どもや青少年に関して ―  
昨年はS Sネットワークの「春まつり」と「秋まつり」「中高生世代キャンプ」「青年たちによる小笠原訪問」「全国青年大会」への参加が実施され、子どもや青少年のつながりの場が戻ってきました。今年度SSネットワークでは、新型コロナの影響で休止していた夏のキャンプ再開が予定され、中高生世代の夏のキャンプは既に準備が始まっています。
青少年が主体となって行う働きと、それを支える青少年支援の活動について、この世界の中で協働性を学びつつ、育まれていくことを通して幼い子どもから青年まで、世代間の連携による一貫した宣教体制を、共育の視点を大切にしながら目指して参ります。そのための青少年活動支援プロジェクトの働きとして、世代を超え、お互いの顔が見える関係づくりや研修の計画、青少年の主体的な働きを支えるために安心して活動できる場所の確保と見守り同伴する大人の存在が重要となります。

― 北関東教区との宣教協働・新教区設立 ―  
今教区会にも「北関東教区・東京教区宣教協働特別委員会」委員長の鈴木伸明司祭様にお運びいただき、後程話をしていただきますので、よろしくお願いいたします。
宣教協働に於いて「出会うこと 知り合うこと 祈り合うこと ともに働くこと」を柱に降臨節・大斎節のみ言葉と歩む黙想集作成、両教区の教会を交互に訪問し、教会の建つ地域や成り立ちを学び、知り合う巡礼企画、青少年に係わる協働や、礼拝音楽委員会の協働等、様々な活動が実施されています。キリストの教会としての成長を、教会・礼拝堂、教会グループやその他の場所で聴き、学ぶことを心に刻み、取り組んでいかれるよう祈ります。 また、予定では2025年秋の教区会にて「新教区設立について」の議案が出されます。これからの期間、解決すべき実際的課題の整理をしつつ、信仰的交わりが深まることを祈り、継続して種々の取組をしてまいります。

― コロナ後の教会 ― 
新型コロナウイルスの影響により、多くの教会で一種陪餐、愛餐会休止、信徒数の減少、Zoom礼拝、行事の変化等、以前とは異なる状況が続いていますが、これからの教会の姿を考える機会として変化を恐れず、教会の本質を見つめる、或いは見直す機会にしたいと願います。
また、先にも申し上げましたが、今この時、各々その場所にある教会としての使命を考えるきっかけとして「宣教協議会からの呼びかけ」を各教会、教会グループの中で共有し、それぞれの教会の賜物(目玉、強み、誇り)を検証し、見出すことへの機会を持っていただきたいと思います。これまでもお願いしてきましたが、引き続きお願いいたします。

― 最後に ―
この1月1日に長きに亘り東京教区、管区、エキュメニカルな分野でも献身された山野繁子司祭様が逝去されました。尊い働きへの感謝とともに、魂の安息をお祈りいたします。また、1月6日には荻原充新司祭が誕生しました。公会の司祭としての更なる働きを祈ります。先週には福永澄聖職候補生が教区の執事試験に合格され、今後執事按手に向けての準備に入りますので、お祈りの内にお覚えいただきたいと願います。
教区の教会・礼拝堂、関連諸施設の上に更なる神様の祝福を祈りますとともに、人事異動により新任地に赴かれる教役者と迎え入れる教会・礼拝堂、諸施設の上に聖霊の導きをお祈り申し上げます。ご清聴ありがとうございました。

 

東京教区 教会・礼拝堂の皆さま

 ハマスとイスラエルの間で引き起こされている戦争の中で、ガザ市中心部の、いのちを守る尊い使命を果たしているアル・アハリ聖公会病院で大規模なロケット弾が爆発し、他に避難場所もなくそこに集まっていた多くの市民が亡くなり、あるいは重傷を負われました。犠牲となった方がたを思う時、他人事として見過ごすことはできません。
 私たちは遠く離れた場所に暮らしてはいますが、神様からの尊い授かりもの、賜物であるいのちを無残にも損なう出来事に対し、悲しみと悔い改めの心を持ちたいと切に願います。
 犠牲となった方がたの魂の平安、そして聖なる都で流されている不要な血が取り除かれ、真の聖なる都としての姿を一日も早く取り戻されますよう、そして尊いいのちの繋がりが生み出されますようともに心を一つにして祈り続けてまいります。どうぞ、ご一緒に祈りを捧げ続けて下さることをお願いいたします。

2023年10月27日
主教 フランシスコ・ザビエル 髙橋宏幸

 

 

東京教区 第142(定期)教区会 開会演説

2023年3月21日(火)          

主教 フランシスコ・ザビエル 髙橋 宏幸

1 ― はじめに ―
 前第141(定期)教区会同様一堂に会しての開催となりましたが、ご参集いただきましたことを感謝申し上げます。議員の皆さま、書記局、事務所、会場準備をしてくださった方がたに、この場を借りて深く感謝と御礼を申し上げます。この度も感染予防に努めながら実施致しますが、時間もタイトであり、ご協力をお願い申し上げます。
先にも申しましたが、先ずは教区会は単なる会議ではなく「神の民の会議」であることを心に留めたいと思います。
 3月3日付の「主教メッセージ」にも記しましたが、長きに亘り各教会・礼拝堂での感染症対策を続けておられることへの感謝を申し上げます。しかし、新型コロナウイルス感染症が完全に消滅したわけではありません。今後も周囲への配慮を含め、感染予防対策に心を注いでいただきますようお願い申し上げます。
新型コロナウイルス感染症以前には“当たり前”としていたことが、2020年以降“当たり前”でなくなり、この約3年間は現状が“当たり前”のようになってきました。多くの不安、不便を重ねてきました今、改めて私たちの信仰生活、礼拝生活、霊性にとって真に必要なものを顧みる時の初めにしたいと思います。毎回の開会演説等でも申し上げていますように、「いのちを守り合う」ことを礎に、漠然と4年前に戻すのではなく、改めてキリストの教会は「イエス・キリストによって何のために、誰のために建てられたのか?」を揺るぎない軸とし続け、礼拝、働きを考え、捧げていきたいと願います。コロナ禍で学んだこと、気付かされたことは、決して乏しくはありません。
ご復活への備えの時、主の更なる導きを祈りますとともに、各地での争い、災害によって亡くなった方がたの魂の平安、そして今も不安、困難の中に在る方がたを覚え、何よりもいのちが守り合えることを願い祈ります。

2 ― 新たな働きへ向けて ―
 現在、複数の教会で地域とそこにおられる方がたを視野に、またそこからのニーズを受けての種々の働きが展開されています。そこではイエス・キリストの心を礎にし、形とされています。「こども食堂」「フードパントリー」「学童保育」「ディサービス」「貧困や食に関わる働き」「野宿生活者支援」「地域のご高齢の方々への働きかけ」等々、形は種々ありますが、地域の声に耳と心を傾け、地域の「ために」「ともに」「向かって」という教会に託されている宣教の使命が一層形深められていきますよう、また教区と関わりのある社会福祉等の諸施設の働きを覚えて祝福を祈り、支えてまいります。
「教会が地域社会とそこに住まい、働く方がたとどのような接点を作ったり、視点を提供したりしていかれるか?」は、宣教VISIONへのヒントです。そこでは、各教会・礼拝堂の在りようの再検討や、時には変えられていくこともあるでしょうが、各教会・礼拝堂の働きこそが「東京教区の変革」に繋がるものになるはずです。地域社会や人びととの関わり、地域に暮らす人びとの生活の視座から見えてくる宣教課題は必ずあります。
 3月18日(土)には多くの方がたの祈りの内に「東京諸聖徒教会『諸聖徒こどもの家』」の祝福式が捧げられました。教区、教会の方がたはもちろん、地域に暮らす方々の賛同や励まし、協力の上に成し得たものであることは私たちに大切な示唆を与えてくださいました。地域の人びと、殊に子どもたちとご家族への働きに更なる祝福と導きを祈り、諸聖徒教会が中心となり築かれ培われた尊い働きですが、東京教区の大切な働き、証の一つとして共に歩み続けて参ります。
長年の課題であります、神様の働きに参与するための教区全体の諸制度(資産、収益、分担金、規程など)の見直しに向けて動き始めています。私たちの働きは主イエスからの委託が礎になっていますが、殊に財政は教区、教会の働きを強めていくものですが、重く、同時に難しい課題の一つです。先般も申し上げましたが、教区費分担金算出方法の見直しだけでは遠からず行き詰まることは明白です。また、前回「例えば特別な委員会などを期限付きで起こしていきたい」旨、「例えば」ということでお伝えしましたが、更なる具体的なプロジェクト発足に至っていないことは、この場を借りましてお詫び申し上げます。
 一方、その前段階として、問題解決を分担金の計算式検討という枠組のみで納めるのではなく、またどこか一部を切り取ってではなく、「変革」という枠組みの中での抜本的改正をプロジェクト発足の前段階としてのワーキンググループ(仮)で検討し始めています。「変革」という全体の枠組みの中で検討して次のステップに進みたいと思っております。そこには聖職の働き方、財政や資産など種々ありますが、北関東教区との宣教協働の中から見えてきたもの、例えば財政面や収益事業や組織の在り方や仕組みなどから気付かされたことも決して少なくはありませんでしたし、それらを今後へ繋げて参ります。
 また、「変革」に繋がるものとして、各教会・礼拝堂とその会衆の在り方、即ち「私たちの教会ではこういうミッションを果たす、目指す」ということを探りつつ、ロードマップ(教会の在り方や働き)作成を引き続きお願い致しますとともに、そのために課題や可能性を一緒に考えていくことは惜しみません。
 組織論等はもちろん大切ですが、「私(たち)の思いをイエス・キリストの思いに」ではなく、「イエス・キリストの思いを私(たち)の思い」としていかれますよう常に主のみ声に耳と心を傾け、また聖霊の働きの識別、不断の祈りや黙想を大切にし合いたいと思います。ともすれば、私(たち)にとっての安逸や満足、都合のよいことや利便のためにしてきたことから改めてイエス様の思いに従っていく、この方向転換こそがことを「変革」への揺るぎない土台であることを絶えず確かめ合いつつ、聖霊に導かれる神の民、イエス・キリストの体、イエス・キリストに倣う信仰共同体として成長し進んでいきたく祈ります。
 また、「教区規則」の見直しや整備、「教役者給与規程」の作成がなされました。規則等と言いますと行動や生活を縛り、制限することが目的と捉えられがちですが、真意は寧ろ教役者が安心して働くことができるように、信徒の方がたが安心して教会生活を送ることができるようにとの祈りと願いを込めての「牧会綱領と牧会に関するガイドライン」の作成も現在進めております。
 11月には管区レベルの宣教協議会が清里で開催されます。日本聖公会の今後に向けてのヒントや示唆に与れると思いますが、その場で終始するのではなく、そこで得たものを持ち帰り、キリストの体の肢としての働きに繋げていきたいと思います。

3 ― キリストの教会の立ち位置 ―
私たちは洗礼を授かりクリスチャンになりましたが、イエス様とともに歩み、イエス様の働き人となるべくイエス様から弟子としてお召しをいただいていること、キリストに学び、倣う者とされていくことを心に刻み続けねばなりません。
依然としていのちを傷つけたり、壊したりする動きは後を絶ちません。このことは神様への冒涜、反逆と言っても過言ではありませんゆえに、自ずと私たちキリストの教会の立ち位置、働きは見え始めてくるはずです。武力や抑圧によって、いのちが否定され傷つけられている地域や国々の人々が速やかに解放され、癒され、回復されますように祈ります。   
 尊く掛け替えのないいのちを傷つけたり、破壊したりする行為は武器に因るものだけではありません。神様への応答として向き合わねばならない課題は多岐に渡りますが、いのちを否定したり、傷つけたりすることは神様の創造のみ業に抗うことであり、キリストの教会として容認はできません。神様からの尊い、掛け替えのない授かりものであるいのちを守り合うために、私たちに主から託されているものを探り、それに仕えるべく祈り、学び合い、働き続けてまいります。
ローマ教皇フランシスコの「多様な価値に生きる人たちを想い遣りと深い憐れみの心をもって迎え入れるべき」との言葉も、教派の壁を超えて大きな示唆、道標になるはずです。

4 ― 北関東教区との宣教協働 ―
 「新教区設立」に向けては、未知のことへの不安や困難、戸惑いも伴いますし、コロナウイルス感染症により十分な伝達ができずにいることは否めませんが、2月11日(土・休)には2回目の「北関東教区・東京教区宣教協働・新教区設立説明会」を両教区同時に対面で開催できましたこと、最後には画面越しではありましたが夕の礼拝を一緒に捧げられましたことは大きな感謝でした。引き続きこのような会を種々の形で重ねて参ります。  

 また、4月6日聖木曜日の礼拝は両教区合同で、聖アンデレ主教座聖堂(東京)で捧げます。後程「北関東教区・東京教区宣教協働特別委員会」委員長の鈴木伸明司祭様(北関東教区)より報告がございますので、よろしくお願いいたします。 
 聖霊という神様の息吹は吹き続け、動き続けています。私たちは、その息吹に与りながら丁寧な働きを培っていくことができるよう祈ります。また、この大斎節にも両教区全教役者執筆による黙想集が作成され、広く活用されていますことは大きな喜び、感謝です。

5 ― 最後に ―
 本年5月、東京教区は教区成立100年を迎えます。これまでを感謝し、これからを祈りたいと思いますが、当日だけのお祝い事で終わらせるのではなく、新たな「変革」への第一歩といたします。今後詰めていきますが、何かしらの形での感謝記念礼拝は実施したいと思います。現在、全ての教会・礼拝堂・信徒・教役者での共通の祈りが作成され、送られていますので通年で祈り続けられることをお願い致します。 
 また、北関東教区との協働も視野に入れ、新しい宣教の歩みのための骨組みを検討し、教区が新たになっていく始まり、「変革」の時ともしてまいります。
 この4月には福永澄聖職候補生が聖公会神学院を卒業され、現場での働きを始められます。指導司祭の指導やご本人の努力と祈りもさることながら、多くの方がたの祈りと支えによって成長していかれることを祈念しています。また、現在7人の現職執事がおりますが、昨年末より「現職執事学びの会」を毎月実施し、礼拝、牧会、霊性、黙想等の学びや実施を継続しています。
私たちは聖書を読み、礼拝を捧げる時、ともすると分析家や批評家になりがちです。しかし、聖書や礼拝の批評家や分析家になることと、み言葉に聴き従うこととは全くのイコールではありません。 社会で、教会の周りで起こっている神様のいのちの出来事と人々を主の晩餐に招くということを一つの事として捉え、考えない限り何れも無意味になりかねません。そして、この尊い務めに携われるのは私たちの能力や経歴によるのではなく、神様の全き赦しと恵みによるものであり、それを行い得るのは神の民の群れに注がれる恵みによるものです。

ご清聴、ありがとうございます。

 

 

新型コロナウイルス感染症対応ガイドライン

2023年3月3日          

主教 フランシスコ・ザビエル 髙橋 宏幸

 

新型コロナウイルス感染症対策に関し、この度政府より 3 月 13 日以降のマスク着用が個人判断に任されるとの方針が出されました。同時に、医療機関受診時、混雑時の公共交通機関利用時には感染防止のため引き続きの着用が推奨されています。
この折、既に各教会・礼拝堂に於かれましては、種々の検討、工夫、話合いを継続しておられることと思いますが、新型コロナウイルス感染症が完全に消滅したわけではないだけに引き続き周囲への配慮を含め、感染予防対策に心を注いでいただきますようお願い申し上げます。
新型コロナウイルス感染症以前には“当たり前”としていたことが、2020年以降“当たり前”でなくなり、この約三年間は現状が“当たり前”のようになってきました。多くの不安、不便を重ねてきました今、改めて私たちの信仰生活、礼拝生活、霊性にとって真に必要なものを顧みる時でもあります。「いのちを守り合う」ことを礎に、漠然と4年前に戻すのではなく、改めてそのことへの祈りと思いを深めたいと願います。
各教会・礼拝堂での礼拝、集会に関する備えを尊重しつつ、以下にガイドラインをお伝え申し上げます。
1 2023年3月13日以降のマスク着用について
  マスク着用に付いては、各教会で諸状況を鑑み、判断をお願い致します

2 2023年5月8日以降の対応について
政府は新型コロナウイルスの感染症に関して、5 月 8 日「2 類相当」から季節性インフルエンザ同様「5 類」に移行する方針を出しました。今後の推移に目を離せませんが、現時点では5月8日以降は聖歌歌唱、陪餐方法、また会合、会食等に付いて、各教会・礼拝堂で種々の状況を鑑み、配慮した上で検討されますようお願い致します

同時に新型コロナウイルス感染症による死亡率はワクチン接種、感染予防意識の向上等によって減少傾向にあり、肺炎を起こす確率や重症化のリスクも抑制傾向にありますが、病原性はそれほど変わっていないことや、後遺症で悩む方々は後を絶ちません。5 類に変更されても軽視することなく、これまでの制限の全面解禁ではありませんので、今後も教会委員会などで状況を顧みながら決定いただけますようにお願い致します。
ご復活への備えの時、主の更なる導きを祈り、また各地での争い、災害によって亡くなった方がたの魂の平安、そして今も不安、困難の中に在る方がたを覚え、そして、何よりもいのちが守り合えることを願い祈ります。
祈りを通じて結び合っていることを強く信じ、祈りの内に主が共に歩み続けて下さることを、ご一緒に深く心に刻みたいと思います。皆さまのご理解、ご協力を心よりお願い申し上げます

救い主イエス・キリストのご降誕を迎えて

2022年12月21日 使徒聖トマス日

主教 フランシスコ・ザビエル 髙橋 宏幸

 

 福音書にはイエス様のお誕生の場面が描かれていますが、単に成長過程をなぞったものではありません。イエス様がこの世にお出でになったこと、それは私たちが立派な完成品となったから神様が贈り物をくださったということではありません。むしろ、神様から溢れんばかりに注がれる恵みと希望です。
 降誕劇の場面にもありますように、イエス様のお誕生は多くの人の喝采を浴びたわけではなく、きらびやかな場所でもなく、真っ暗闇という不安や恐れに取り囲まれた中でのことでした。マリアとヨセフの心中も同様でした。しかし、それだけに支え合い、励まし合いながらイエス様のいのちを守り合ったはずです。
 ここ数年、世界中が不安と困難の中にあってもなお祈り合い、支え合うという繋がりを大切にし続け、繋がりの中に生かされている私たちのいのちに思いを馳せてもきました。不安の拭えない中、誰もが弱さや影を感じていますが、イエス様は、そういう自分を認め、誤魔化さず「私に従いなさい!」との励ましを注いでおられます。私たちの一切を清濁併せて受け止めて下さった上で、尚且つ見捨てることも見限ることもなく私たちへの愛を注ぎ続けて下さる「愛の神様」の心へ感謝を捧げることはクリスマスの大きなテーマの一つと言えましょう。
 「神は我々と共におられる(インマヌエル)」は、人々に恐れや不安を抱かせる暗闇の中での神様の愛と威厳に満ち満ちた言葉です。これは二千年前にベツレヘムの馬小屋で起こった、今となっては懐かしい言葉ではなく、今を生かされている私たちのいのちの営みの中にも向けられています。
 今年もコロナウイルス感染症等への不安の拭えない中でご降誕を迎えました。困難な状況が瞬時に消えはしないでしょうし、引き続き慎重な行動は求められますが、共におられる神様の生きたみ言葉であられるイエス様からのいのちへの祝福を深くお祈りいたします。引き続き、いのちも守り合うために慎重な対応をして頂くようにお願い致しますとともに、各現場への導きと励まし、祝福をお祈り致します。


                     

主教教書(28) コロナウイルス感染症感染者数増加の中で

2022年7月29

主教 フランシスコ・ザビエル 髙橋 宏幸

 

 現在、「緊急事態宣言」発令はされてはおりませんが、7月20日以降東京都ではコロナウイルス新規感染者数が2万人を超える日が続いており、28日には4万人を超える数字が発表されました。
 「礼拝・公祷の一斉休止」には致しませんが、この状況を鑑み礼拝・公祷休止を決められた所もあります。
 同時に、休止予定のない教会・礼拝堂におかれましては、当初お送りしました「感染防止要件確保」項目の確認と遵守をお願い申し上げますとともに、より細かな状況分析と丁寧な協議のもとで礼拝・公祷実施の有無、あるいは延期に付き念には念を入れての判断をしていただきますようお願い申し上げます。
 判断が厳しく、また難しい状況にありますが、繰り返しておりますように自分のためだけでなく他の方がたのいのちをも守るために、キリストの教会としてくれぐれも慎重な判断や対応をしていただくように重ねてお願い致します。各々の現場の判断へ一層の導きと励ましと祝福をお祈り致します。
 ワクチン未接種者、あるいはできない、しないと判断されている方がたもおられることも心に留め、そのような方がたへの配慮を忘れず一層深く互いに祈り合いながら、この局面を共に歩んでいきたいと深く祈ります。
 罹患された方がたの回復、医療現場にて命がけで献身しておられる方がた、エッセンシャルワーカー、諸施設や教育機関等で献身していらっしゃる方がたの働き、生活上の不安や困難を余儀なくされている方がたへの支え、ご逝去された方がたの魂の平安と悲しみの内にある方がたへの慰め、そしてこの危機の収束を切にお祈り致しますとともに、罹患された方がたへの偏見や差別に陥らぬよう併せて祈ります。

以上

                     

甦りのいのちに与りながら

2022年4月17

主教 フランシスコ・ザビエル 髙橋 宏幸

 

+ イエス様の甦りを感謝し、お祝い申し上げます

 「週の初めの日の明け方早く、準備しておいた香料を持って墓に行った」と、福音書にあります。婦人たちがお墓へと急いだのは、今は亡き過去の方となった、そして、それ以外には考えようのないイエス様の葬りの備えのためでした。ところが、そこにあるはずのご遺体が見つからず途方に暮れていると、輝く衣を着た二人の人が現れ、言います。「なぜ、生きておられる方を死者の中に捜すのか。あの方は、ここにはおられない。復活なさったのだ。まだガリラヤにおられたころ、お話しになったことを思い出しなさい。人の子は必ず、罪人の手に渡され、十字架につけられ、三日目に復活することになっている、と言われたではないか」と。婦人たちはイエス様の言葉を思い出しますが、簡単にはイエス様の甦りを信じることはできなかったことでしょう。
 けれども婦人たちは、「ここにはおられない」という言葉を受けてあちこち探し回りはせず、反対に「ここ」だけに注目して「イエス様が消えた、ご遺体が無い」と騒ぎ立てもしませんでした。もしそうしていたなら、「結局は甦りなどあり得ないことだ」で終わってしまったことでしょう。しかし、婦人たちはイエス様の言葉を思い出し、イエス様の言葉に心を添わせ、自らをコミットさせました。
 さらに、福音書はこうも書き残しました。「あなたがたより先にガリラヤに行かれる。そこでお目にかかれる」と。そのお告げを聞いた婦人たちは、恐れながらも大いに喜び、急いで墓を立ち去り、天使の「お目にかかれる」という言葉を心に深く刻み込んで弟子たちに知らせるために走って行きました。ともすると、どのように甦えられたのかというほうに関心が向きがちですが、本当に大切なことはイエス様にお目にかかる、それ以上にイエス様のほうから出会ってくださるということです。しかも、お目にかかるとはちらっと見たとか、通りすがりに見たのではなく、相見えた、しっかり向き合い始めたということです。福音書に登場する多くの人たちは、イエス様に向き合い、向き合っていただくことを通して人生に大きな転換が起こったり、神様に造られ、いのちの息吹を注ぎ込まれた本来の自分を取り戻したりしました。
 また、福音書は「あの方は、あなたがたより先にガリラヤへ行かれる。そこでお目にかかれる」と、今も私たちに伝えてくれています。そのガリラヤとは、かつて弟子たちがイエス様に出会い、イエス様から出会っていただき、お召しに与り、神様のいのちの内に第一歩を踏み出した所であり原点であり、今度は甦りのイエス様との出会いが備えられ、待ち受けている所です。このガリラヤに例えられる原点は私たちにも備えられています。不安の絶えない世の中ですが、甦りの恵みと力に与り、日々新たに歩み続けていくことができるよう祈り合いたいと思います。
 また、ウクライナでの悲惨な状況に置かれている方がた、未だ不安の拭えないコロナウイルス感染症に苦しむ方がた、医療に献身、従事しておられる方がたのために祈り続けます。
 神様の御恩寵の内に、主イエス・キリストの甦りの時を迎えられますように。