連載 福島からのぼやき(第2回)『私が原発周辺で生活していた頃2 ~原発との遭遇 チェルノブイリ原発、東京電力柏崎刈羽原発、東京電力福島原発~』

浅原和裕さんは原発問題プロジェクトのメンバーで、福島聖ステパノ教会の信徒です。福島市内に住んでいて、通勤路にある放射線線量計(モニタリングポスト)を毎日目にしながら日常を送っています。

連載 「福島からのぼやき」第1回と2回では、福島市だけでなく赴任地や旅行先で経験した5カ所の原発について、「私が原発周辺で生活していた頃 ~原発との遭遇~」と題してぼやいています。

連載第1回(2024年4月13日掲載)は、原発との第1回目の遭遇⦅新潟県南魚沼郡六日町(現南魚沼市)⦆と第2回目の遭遇⦅茨城県勝田市(現ひたちなか市)⦆についてぼやきました。各地で経験をしたからこその「ぼやき」です。

今回お届けするのは連載第2回目で、原発との遭遇第3回目~第5回目の3か所です。

  • 第3回目の遭遇(1986年):チェルノブイリ(チョルノービリ)原発。
    新婚旅行で訪れたオーストリアのウイーンやドイツのミュンヘンでの経験をぼやいています。ミュンヘンでもセシウム137が観測されました。チェルノブイリ事故後に脱原発を決めたドイツの政策にも触れています。
  • 第4回目の遭遇(2005年):新潟県の東京電力柏崎刈羽原発。
    新潟県長岡市に単身赴任をしていた時の経験から、「原子力立地給付金」や、いわゆる「典型的な上物戦略」についてぼやいています。
  • 第5回目の遭遇(2011年):東京電力福島原発。
    原発事故後の避難のこと、廃炉のこと、原発の運転期間20年延長認可のこと、核のゴミのことなどついてぼやいています。福島県民の視点ならではの「ぼやき」です。

私が原発周辺で生活していた頃2

第3回目の原発との遭遇(1986年 チェルノブイリ〔チョルノービリ〕)

チェルノブイリ(チョルノービリ)原発事故(レヴェル7)でした。

これは1986年4月26日発生。当初ソビエト連邦政府は隠蔽していたが、放射能がヨーロッパ方面やフィンランドにも到達したことからゴルバチョフ政権は公表(グラスノスチ)せざる得なかった。その年の11月、旅行でいったウィーンのホテルのTVではそのことが盛んに報じられていましたが、良く分からないまま浮かれた気分でいたんです。西ドイツ(当時)バイエルン地方にも放射能は飛散し、セシウム137がミュンヘン市内でも観測された。この頃、私は新婚旅行の真っ最中でミュンヘン市内のナチスの決起集会が行われた名高いビアホール「ホフブロイハウス」でいい気になってビール飲んでたんです。

2022年の4月15日にこのドイツは最後の原子炉が3基発電のための運転を停止して「脱原発」が完了した。2035年までに再生エネルギーのみで電力の供給を目指す、なんて言っています。買う電力はフランスの原発からの電力ですからね、どうなることやら・・・コロナでこの予定が遅れたらしいのですが、どうも国民の半数くらいは納得していないらしいですね。いつ覆るか恐ろしいですね。でも国家の電力獲得施策についての大転換は基礎疾患を治療できたということで素晴らしいことです。

④第4回目の原発との遭遇(2005年 柏崎)

2005年新潟県に縁がありまして、長岡市に単身赴任した時でした。

ここは世界一の東京電力柏崎刈羽原発のお膝元という事でまた「原子力立地給付金」を自動的に貰ったんですね。柏崎市内が上物に恵まれており本当に廉価で会議室を借りることが出来、営業推進には本当に助かりました。典型的な上物戦略だったのです。予約してもいつも空いている。しかも安い使用料で設備は完全に揃っています。今後どうやって維持していくのでしょうか?マネー獲得のためまた増設するってなことにならなければいいけどね。

⑤第5回目の原発との遭遇(2011年 福島)

2006年3月から福島市に家族と住まいを落ち着けることにしました。2011年にこのレヴェル7の事故があって初めて東京電力福島第1発電所、第2発電所があることに気づきました。意識してなかったのです。原発から半径60km以内は避難対象地域となりましたが、福島市、郡山市はかろうじて?政策的に?外れたんですね。両市他合わせて60万人以上に避難命令が出てたらと思うとぞっとします。この避難命令が出ていたら今は違った状況になっていたと思うと、更にゾッとします。ほんとに!でも今でも本当に避難しなくて良かったのかと思っています。毎日風向きのニュースを見てハラハラしてました。

この60という数字、後でキーワードになります。覚えておいてください。

県民の声により、第1は勿論第2も廃炉になりますがまあ膨大な費用でもってやるわけです。当初の予算から今までの推移を考えて下さい。予想が出来ないんですよ。最初から予想したらまた大騒ぎだったでしょう。いろいろなトラブル、隠蔽、捏造などが行われて来た結果今日を迎えているわけです。毎日必ず関連記事を欠かさず見ています。

さて、数字の60についてです。再延長のことです。「原発の60年超運転」です。やってくれましたよね。禁じ手を!考えられませんよ。こんなバカな非常識なことってあるのでしょうか?「原子力規制委員会」は減価償却理論の考えを全く無視して、原発だけ例外だというのでしょうか?こと原発については異次元な決定をしていく。例外ばかりを今後も作っていくこれが怖いし、建物劣化の基準、原子炉の劣化の基準はこれから作るなんて、決定は時間がないからこうした!なんてお笑い沙汰ですよね。子供たちに今後どういう説明をするのでしょうか?これに反対した委員は常識のある方だったといっておきましょう。

「宇宙戦艦ヤマト」の沖田艦長、古代進以下が、ガミラス帝国との遊星間戦争に打ち勝ち、女王スターシアのイスカンダル星からの放射能除去装置「コスモクリーナーD」の部品を持ち帰り、幸いなるかな組み立てに成功し、作動させ、ガミラスからの遊星爆弾で放射能汚染を受けた地球は救われるという愛と涙の人類愛のストーリーでした。

古代達は、組立に何とか成功しましたが、現在の人類にそのような魔法の機械はあるのでしょうか?ないですよね。ゴミだってそのまんま捨てられない。六ヶ所村で問題続きです。「トイレのないマンション」なんて言われてますけど、今の科学では漏れ出したものを制御できないし始末できない。不思議ですよね。世の中に始末できないものはたくさんあるんでしょうが、特に科学的に始末できないでその中で人類が生きてゆくなんて、自分で首絞めて生きているんです。どうしようもないので埋めて処理するしかないのか。もっとお金出すからお願い!北海道の広大な大地に埋めたいんだけど!何とかならんですか?の泣き落とし。だってどの県も反対してるんでしょ。いったどうするつもりなんでしょうね?

(第3回に続く)

[ 次回予告 ]
連載 福島からのぼやき第3回は、「やはり原発は存続する限り人類を滅ぼす、その1」です。何を、どうぼやくのか、次回もご期待ください。