「変わらないもの」にこそ

主教 植田仁太郎

 2009年をふり返って、多くのマスメディアが、内外の流行のことばとなったのは、「チェンジ」ということであったと、時代の風潮を指摘していた。
  アメリカのオバマ大統領が掲げた標語として始り、日本の総選挙を通じて民主党政権が誕生して、チェンジが現実のものとなったような気にさせられた。アメリカでも日本でも、チェンジに期待したことは、そう簡単に変わらないという失望感が感じられていることも確かである。
  それでも、前政権のもとで当然とされてきた、特に利権や特権を得てきた人々にとっては、変りっこない、と思っていたことが変ってしまうことに、多くの戸惑いがあっただろう。
  気候温暖化についての大きな国際会議の開かれた、デンマークのコペンハーゲンという町は、自動車中心の考え方から、自転車中心の町づくりに変ったと、ずい分報道されていた。世界の自動車産業界は、石油・ガソリンに代るものを動力源とするクルマの開発に必死になっているという。
より公平な、一部の人間だけがトクをするのではない社会へと、社会が変ってゆく、社会を変えてゆくのは、大切なことである、後戻りのできない資源や環境を守ってゆく社会と人間生活へと変えてゆくことも大切なことである。
  そういう中で、教会は、どのような時代にあっても変らない価値と変らない真実を語り続ける。世界と人間は、神さまの支配のもとにあるという謙虚さを常に持ちなさいと。2010年を、変らないものにこそ注目する年としてゆきたい。