主教教書(12) 緊急事態宣言解除にあたり

2020年5月28日

主教 フランシスコ・ザビエル 髙橋 宏幸

 5月25日「緊急事態宣言」が解除されました。 しかしながら、今後の感染再度拡大への懸念は、専門家より指摘されています。 「世間では遂に」とか、「首都圏もついに」という声もありますが、常置委員会、聖職会での話し合いを経まして、ひと月ほど推移を見守るとともに、その中で礼拝(公祷) 再開への備えを慎重、且つ丁寧に段階的に礼拝(公祷)再開への備えをし始めております。なお、「聖職会」は今後も引き続き開催し、心と力を合わせてまいります。    
 その中で、東京都、首都圏に於ける「自粛要請解除」を見つつ、引き続き「三密回避」 等の感染症への対策を熟考し、日程を見極めた上で段階的に礼拝(公祷)再開へ向かいます。
 教区といたしましては、礼拝(公祷)再開が可能な時期が決定次第、速かに日程と礼拝方法を各教会・礼拝堂にお知らせする予定でおります。
 
 3月8日(大斎節第二主日)からの礼拝(公祷)休止以前の教会にすぐさま戻ることは考えられません。それまでとは違う様々な制約を設けなければなりませんが、それは「神様からの賜物である尊いいのちを守る(守り合う)ため」に、自分だけではなく他の方々のいのちを守るために、キリストの教会としての責任ある前向きな行動とご理解ください。
 「緊急事態宣言」解除は、「安全宣言」発令でも「ウイルス消滅宣言」発令でもありませんし、「自粛要請解除宣言」でもありません。従いまして、今後も引き続き、大変恐縮ではございますが、礼拝(公祷)再開の折にも、移動手段なども含め、礼拝出席に不安のある方がたは決して無理をなさらず、出席をお控えいただきますようお願い致します。また、基礎疾患のある方がたやご高齢の方がたには、何よりも「いのちを守る」ために今しばらく自粛をお願い申し上げます。
 
 今後も毎主日正午には主イエス・キリストが授けてくださった「主の祈り」をそれぞれが居られる場所で、共通の信仰的業として捧げることを継続していきたくお願い申し上げます。引き続き、誰かのために、何かのためにできること、しなければならないことを祈りの内に聴き続けたく思います。 併せて、社会との接点の中での尊いお働き、殊に社会福祉施設、医療施設、高齢者施設、幼稚園、保育園等のお働き、社会生活の営みを支えるお働きをそこで献身していらっしゃる方がた、関係者のためにもお祈りを捧げます。私たちは各々の生活の場にありながらも祈りを通しての繋がり、強さ、そしてその大切さ、キリストの体という 共同体の信仰の素晴らしさを深く心に刻んでおります。
 
 感染症に罹った方がたの一日も早い回復、医療の最前線で力を尽くしておられる医療 従事者の献身的なお働き、生活上の不安、困難を余儀なくされている方がたへの支え、ご逝去された方々の魂の平安と悲しみの内にある方がたへの慰め、この危機の収束を切にお祈り致しましょう。
 
 主が憐れみをもって、私たちの悩みを顧み、愁いと恐れを取り除き、み顔の光によって私たちに主を仰ぎ見る力と希望を注いでくださいますように アーメン