主教教書(18) コロナウイルス感染症の最近の状況の中で

2020年12月19日

主教 フランシスコ・ザビエル 髙橋 宏幸

各教会・礼拝堂におかれましては、既にクリスマスに向けての出来得る限りの備えと工夫を重ねに重ねて進めてこられたことと思います。
しかしながらここ数日、殊に東京都におけるコロナウイルス感染症数、陽性率の激増を目の当たりにしております。また、12 月 17 日には医療提供体制警戒レベルは、最も深刻な「体制が逼迫している」(レベル 4)に引き上げられました。クリスマスへ向けて種々の備えをしてこられた一方で、不安や迷いも増しておられることと思います。

そこで、イブ礼拝、及びクリスマス礼拝については休止の可能性も含め再検討をお願い致します。但し、これまで入念に準備をしてこられたことも配慮し、礼拝をおこなう際には一層の予防と気持ちの引き締めをお願い致します。
なお、12 月 27 日(降誕後第一主日)以降、首都圏、殊に東京都のコロナウイルス感染症の最近の深刻化を鑑み、当初からの二本柱である「いのちを守り合うこと」「教会の社会的責任を果たすこと」を重んじ、医療提供体制警戒レベルが「3」になる迄を目安に、礼拝・公祷(会衆参加の礼拝・公祷)を休止と致します。


但し、教会・礼拝堂の全ての営みの休止、あるいは閉鎖ではなく、以前にもお伝えしましたように、私たちキリストの教会は祈りを止めることは決してあり得ません。今は私たちにとって信仰の鍛錬、霊的闘いの時でもありますが、同時に聖パウロが力強く伝えていますように「御言葉を宣べ伝えなさい。折が良くても悪くても励みなさい」「あなたは、どんな場合にも身を慎み、苦しみを耐え忍び、福音宣教者の仕事に励み、自分の務めを果たしなさい」への一層の応答の時にもなるはずです。

再度の礼拝・公祷休止により会衆が集えずとも、教役者は教会、礼拝堂を代表し礼拝と祈りを各教会、礼拝堂で守っております。従いまして、教区内に全ての教会、礼拝堂から一切の礼拝や祈りが消えたわけではありません。このことは教役者個人の霊的養いや訓練に止まるものではなく、キリストの教会と全世界のための祈り、信仰の業でもあります。

また、それぞれの場所での一人一人の祈りの内にキリストと繋がり一致を求めることは、教会の大切な伝統です。この困難な時こそ、み言葉を一層深く聴き、み言葉に仕え、宣べ伝えるという使命を忘れることなく、様々な不安や戸惑いを乗り越え、感染拡大を防ぐべく、私たちはキリスト者として各々の場所で一人で祈っている時でさえも、主イエス・キリストの体である一つの共同体に結ばれて続けているという信仰を共にし、確かめ合いたいものです。個々の信仰や霊性の大切さももちろんですが、そこだけに止まらず互いの配慮、「God First You Second I Third」を、キリストにある私たちの一致の指標にしたく願います。
そのためにも、今後も引き続き、祈祷書の「朝の礼拝」「朝の祈り」「聖書日課」などを用いて、神様との交わりの時、祈りの時を持たれることをお勧め致します。自宅で祈られることも命を守り合うことに通じます。

前回の礼拝・公祷休止の際にも各教役者によるホームページ等を活用した配信、メールやFAX、郵送による説教送付、また手紙や電話による信徒の方がたへのケア、祈りと黙想、み言葉に向き合う時間の増加など、教役者各々の賜物を活かした形での聖務遂行を切にお願い致します。
また、12 月 27 日(降誕後第一主日)以降の礼拝・公祷の再度休止に伴い、教会運営に支障のない限り、種々の会合は自粛を要請致します。但し、礼拝堂の扉を開けておくことは構いません。ご葬儀は十分な配慮の下、執行は構いません。


私たちはそれぞれ異なった場所で祈りを捧げるとしても、その祈りは決して個々人の祈りではなく、教会共同体の祈りとなり、祈りの輪、祈りにおける連帯を形作り、主イエス・キリストと父なる神様との交わりに重ね合わされ、聖なる捧げものとされます。
そこで、復活日に実施致しましたが、主日正午には、お昼時の忙しい時間ですが、一旦手を止め、心と言葉を合わせて、主イエス・キリストが授けてくださった「主の祈り」をそれぞれが居られる場所で、心を込めて捧げていただきたいと思います。私自身も祈ります。皆さまもご一緒にお祈りください。また、他の方々にも祈りに加わってくださるよう、お知らせとお勧めをお願い申し上げます。

既にお伝えしていますが、万が一感染された方が出た際には速やかに教会、及び教区事務所総主事(下条司祭)宛に通知ください。プライバシーには配慮し対応致します。

罹患された方がたの回復、医療現場に於いて命がけで献身、尽力しておられる方がた、エッセンシャルワーカー、社会福祉施設、高齢者施設、幼稚園、保育園等のお働きと、そこで献身していらっしゃる方がたのお働き、生活上の不安、困難を余儀なくされている方がたへの支え、ご逝去された方がたの魂の平安と悲しみの内にある方がたへの慰め、そしてこの危機の収束を切にお祈り致しましょう。
また、罹患された方がたへの偏見や差別に陥らぬよう併せて祈ります。


み子の訪れによってわたしたちを清め、心の闇を照らしてください。 アーメン


苦渋の選択、決断でありますが、皆さまのご理解、ご協力の程、切にお願い申し上げます。